いびき(鼾)は東北地方では、鼻音(はなおど)とも言われ、鼻から発生する音と思われがちですが、実際はのどから発生する振動音です。
のどは生理的狭窄部位でありかつ周囲に骨による支えがないため、閉塞しやすく特に仰向けになると重力の影響でそれが著しくなります。
川柳でも「目覚めたら 妻の寝顔と たかいびき」(だめおやじさん)と詠まれるように、同室すると騒音公害となり、迷惑や顰蹙(ひんしゅく)の対象となります。
本人にとっては、ほとんど無意識であるため、他人に「傍若無人、厚顔無恥ないびきかき」などとレッテルを貼られているとも知らずにいる場合もあるでしょう。
こういう負のイメージを持たれる他に、いびきは無呼吸などを伴って、健康を害することがあるというのは、喫煙に共通するものがあります。
病的ないびきは睡眠時無呼吸症候群Sleep Apnea Syndrome(以下SASと略)と呼ばれ、10秒以上の無呼吸が1時間に5回以上起こる場合を指します。
睡眠中に無呼吸が何度も起これば、当然、体に良くありません。
息こらえを何度も繰り返すことを考えれば、体への悪影響は想像に難くないと思います。
特に無呼吸が1時間に20回似上の場合、心筋梗塞、心不全、脳梗塞などのリスクが格段に高くなるという報告もあります。
生体の防御反応として無呼吸から身を守る覚醒反応がおこりますが、SASでは一晩に数百回もおこるため、睡眠はとぎれとぎれの質の悪いものとなります。
これが、SAS特有の著しい日中の眠気を引き起こし、交通事故や労働災害につながるという社会問題にもなっています。
重大なものとしてスリーマイル島の原発事故やスペースシャトルチャレンジャー号の墜落事故がSASによるものと考えられています。
某製薬会社が行った「2001年いびき白書」では、男女二千九百人中、28%が「いびきをかく」と答え、86年の調査の17%に比べ、大幅に増えています。
いびきをかく人の1割ぐらいが無呼吸を伴うといわれているため、SASは確実に増加していると考えられます。
この4月より呼吸器科ではSAS診断に必須の終夜睡睨ポリグラフを導入し、今まで見つかりにくく、病気として余り認識されなかったSASの診療に着手しました。
万が一、病気と判っても有効な治療法がいくつかありますので、気軽にご相談ください。
また呼吸器専門外来として、いびき外来を開設し、他科とも連携し適切な治療法の選択やフォローアップを行っていきたいと考えています。 |