〈はじめに〉
褥瘡をケアするうえで、その目標を設定したり処置方法を選択したりする時、その情報のひとつとして褥瘡の程度の分類が必要であると塚田貴子氏は述べている。
当病棟における褥瘡ケアは看護師の褥瘡への関心の低さもあり、サイズの計測のみで評価までは至っていなかった。
処置も漠然と行われ治療効果をあげることができなかった。
昨年10月褥瘡セミナーに参加したスタッフの声により、褥瘡の経過表を作成するとともに今までの看護の見直しを図った。
それにより、病棟スタッフの中に褥瘡に対する治療・看護への関心が高まり、また褥瘡が治療する結果も得られたので、ここに報告する。 〈実施期間〉
平成13年12月〜平成14年6月 〈新たな取り組みとその目的〉
1.瘡の状態を細かく観察し評価することで、治療及び看護の方向性をつかむことを目的とし、褥瘡経過表を作成した。
2.摩擦や圧迫による新たな褥瘡形成の予防と今現在既存する褥瘡の悪化防止を目的とし、体位変換の見直しと除圧の工夫をおこなった。 〈実際〉
《1について》
・評価は1回/週行い、処置したスタッフが記入した。
・経過表を見ながら、医師への報告・処置の相談をした。
・経過表の記入の他に、1回/月のペースで写真撮影を行った。
《2について》
・患者の体がベッドで摩擦が起こらないよう2人で持ち上げるようにして体位変換をした。
・褥瘡のある部位を下にしないよう体位変換をした。
・ギャッチUPするときは30度以上にしない。
・オムツ使用患者の尿取りパッドは日中は2枚→1枚夜間は3枚→2枚に枚数を減らした。
・瘡部に当てるガーゼの枚数も半分にした。
・危険要因の高い患者には褥瘡の程度に応じて、体圧分散マットを使用した。
〈結果〉
《1について》
・使用開始当初は、作成に携わったスタッフが中心となり記入・評価していたが、そのスタッフの呼びかけによって今では数人で話合いながら記入・評価するようになった。
・経過表を記入することで医師とコンタクトが取りやすくなり、適切な処置を提供できるようになった。
・写真撮影は瘡の経過が一目でわかり、経過表と合わせることにより処置や看護の評価ができるようになった。 また、瘡を見ていないスタッフから意見を得るときに有効であった。
《2について》
・平成13年12月には10名11カ所あった褥瘡が、平成14年6月には2名2カ所になっている。ただし、1名2カ所は治癒せず死亡に至っている。
また、現在治療中の褥瘡においても深くなったり、新たなポケット形成・圧迫による壊死等の悪化はみられていない。
〈考察〉
今までの褥瘡に対しては、関心の低さや知識不足により体位変換1つとってみても、効果的な手技で行えていなかった。
処置者が毎日変わることや瘡についての記録もなく、瘡の変化が気づきにくい状況だったため処置においても漠然と行われていた。
今回経過表の使用・看護の見直しを図ったことで、褥瘡患者が減少したという結果を得られた。この2つのことだけで治癒したとは言えないが、少なくとも良い影響を与えたと考えられる。また、病棟スタッフの意識においても少しずつではあるが「褥瘡は治るんだ」という確信が生まれつつあり、積極的に取り組んでくれるスタッフが増えチームを引っ張るようになっている。
今後の課題として、褥瘡経過表の見直しと褥瘡に対する看護の充実を図るため、病棟内での勉強会等行っていく必要がある。 〈おわりに〉
我が病棟における患者層は障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)のB・Cが74%であり、オムツ使用患者が70%を占め、褥瘡になりやすい患者が多いと言える。そこで予防にも力を入れる必要があり、危険要因のアセスメント表を作成した。今後、これを使いながら褥瘡0をめざしていきたい。尚、褥瘡に対する取り組みにご協力して頂いた先生方に深く感謝いたします。
〈引用文献〉
塚田貴子:救急・集中治療における褥瘡ケア−褥瘡のアセスメントの基礎−エマージェンシーナーシング2001年夏季増刊、メディカ出版、2001
〈参考文献〉
福井基成:最新!褥瘡治療マニュアル、エキスパートナースMOOK16、照林社、1993
大浦武彦:わかりやすい褥瘡予防・治療ガイド、照林社、2001 |