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SARSのアウトブレークに学んだこと

感染対策部長  川名 林治

  2003年2月ごろから香港や中国を中心にSARSの流行が注目され、実際には2002年の秋からすでに中国では流行がはじまっていたということが、後に判明したが、その後、ベトナム、シンガポール、カナダ、台湾などに拡大し世界29カ国で感染が拡大してアウトブレークの形をとったことが、注目され、その後、ベトナムではいち早く制圧宣言がWHOから出されている。
 6月中旬には患者は8460名、死亡者は799名となり、重大な流行であることが、判明している。
 現在も小康状態を保ってはいるが、北京、台湾、カナダなどではSARSの流行がなお続いたが7月5日にWHOから終息宣言がでた。
 このSARSの病原についてははじめ種々の論議があったが、現在ではSARSコロナウィルスであったということが決定されている。 
 台湾人医師の来日を契機にして、日本ではパニック状態とも思える問題を提起したが、反面これが日本のSARS対策に残した教訓は大きかったと思う。
 SARSの感染は飛沫感染が主であるということが判明してきたが、一方では空気感染や動物由来の感染なども今なお言われている。
 この間SARSの主たる感染は院内感染であるということが、疫学的に判明し、流行地では、医師、看護師、検査技師、放射線技師など感染が伝えられている。
 このためWHOではSARSの早期診断や早期隔離が大事であるとし、情報の早期伝達、また、消毒剤の適正使用も訴えられている。
 盛岡友愛病院ではいち早く避難室を設置して、対応を考え、また職員の教育啓蒙活動などをおこなって感染防止に努めてきた。
 2003年6月中旬にマレーシアのクアラルンプールで世界のSARSの専門家を中心に国際会議が開かれ、多くの報告や対策が討議され、多大の収穫があった。
 これによって今後のSARSの研究体制や予防、治療などに対して討議がなされ、国際協力が合意された。
SARSがいったん収まったかに見えるが、このアウトブレークのもたらしたものはウイルスの研究はもとより、来るべき冬にSARSコロナウイルスがどのような流行を示すかを考えながら国際的な協力をすることが大切であると考えられる。
 かつてのポリオのように、多くの人々を恐怖に陥れたが、SARSはいまだ本格的な治療法やワクチンなども開発されていないし、今回の協力を基にして、世界全体でこのSARSに対応していく必要があると思う。
 盛岡友愛病院ではつとにMRSAや緑膿菌、肝炎ウイルスなどについての院内感染対策を実施してきたが、今回の経験をもとにして、より幅の広いSARSを含めて、今冬のインフルエンザの院内感染対策に取り組んでいきたいものである。

 

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