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みどりのゆび−私と児童文学−       アレルギー科部長 吉田 順子

 大学時代に絵本や児童書の好きな友人がいて今人気の『指輪物語』などをせっせと読んでいました。
 その友人にモーリス・ドリュオン作『みどりのゆび』を紹介されてからこの作品は私の愛読書の一つになっています。
−ある国に男の子が生まれます。
ちょっと変わったその子は優しい両親にも恵まれ何不自由なく成長しますが、ある日自分に“みどりのゆび(園芸の才能を持つ人の意)”が備わっていることに気づきます。
刑務所や病院、更にはその国の主要産業である武器製造所までも花や植物で埋め尽くし、人々に幸せと世界に平和をもたらす。そんな内容のお話です。
 ドリュオンはフランスの作家ですがそういえばどこかサン・テグデュペリの『星の王子さま』と似た雰囲気があります。
 もう一人、ジャン・ジオノもフランスの作家で『木を植えた男』が有名です。
 この作品は一人の初老の男が廃墟と化したプロバンスの荒野に黙々とカシワやブナの種をまき、緑豊かな地に変えていったお話です。『みどりのゆび』の男の子チスト同様に木を植えた男エルゼアール・ブフィエにもみどりのゆびがそなわっていたと思われます。
 短いけれど素敵な物語だと思っています。どちらも1950年代に書かれた作品です。
 私は5年前程に児童文学研究会に入りました。
 子どもたちに良い本をたくさん読んで欲しいと願う盛岡の方々が市立図書館を中心に様々な活動をしています。もう30年も続いているそうです。
会員になったおかげで自分では選ばなかった種々の作品と出会うことができました。
 その中に1997年に書かれた『種をまく人』があります。
作家は米国人のポール・フライシュマンです。
オハイオ州クリーブランドの貧しい移民街の一画、ゴミ捨て場と化した空き地に一人のヴェトナム人の女の子がライマメの種を6粒まきます。
 そこから物語は始まり、アジア、南米、ヨーロッパ、白人、有色人、大人、子ども、老人、妊婦、様々な人が関わって汚れた空き地は豊かな農園に変わっていきます。
 それと共に人々の心も豊かに変わっていくのです。
 現代アメリカの作品らしいスピーディーな語り口ですが、先の2作品と共通する温かなものを感じます。
 話は変わって、先日盛岡市医師会主催の“痴呆症ケアのための研修会”の特別講演で、非薬物療法として病院(診療所)のできる役割に@お年寄りのお茶のみ場の提供A畑仕事のできるスペースの提供という話がありました。
 入院患者さんの中にはたくさんの“みどりのゆび”を持つ方がいらっしゃると思います。
 盛岡友愛病院が緑の木々に囲まれ、花や野菜が豊かに育つそんな場所作りができたら患者さんの表情ももっと豊かになるのでは? 

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