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花粉症−治療は抗原回避から−     耳鼻咽喉科部長 小原 由紀子 

 ヒトにアレルギー反応を起こす物質にはさまざまなものがありますが、そのような物質(抗原)が鼻の粘膜で抗体と反応した結果起きるのが、アレルギー性鼻炎です。
 体にとって異物である抗原を吹き飛ばそうとくしゃみがでたり、鼻粘膜表面に付着した抗原を洗い流そうと鼻水がでたりするのです。
また、さらなる抗原の新入を防ぐため鼻粘膜が腫れて鼻閉が生じます。
 アレルギー性鼻炎を起こす抗原の主なものに家塵(ハウスダスト)、塵ダニ、杉やブタクサなどの花粉、カビ、動物の毛やフケ、繊維などがあり、鼻から吸った場合だけではなく食べてもなる場合があります。
これらさまざまな原因抗原のなかで花粉によって起こるアレルギー性鼻炎を花粉症と称することがあります。
草木から飛び散った花粉が鼻や目に入り、アレルギー反応を起こすのです。
花粉(抗原)が繰り返し体内に入る(曝露)ことで、徐々にその花粉抗原にのみ反応するもの(抗体)が作られていきます。
 抗体とは、免疫グロブリンの一種でIgEというものです。
例えば、スギ花粉症の方では、体内にスギのみに反応するIgE抗体が作られていて、スギ花粉が体内に入ることで、さまざまな反応(症状)を引き起こします。くしゃみ、水様性鼻汁、鼻閉、眼のかゆみといった花粉症の症状は、原因抗原である花粉の飛散期にのみ認められるわけですから、例えばスギ花粉症の方であれば、毎年ほぼ同じ時期(盛岡ですと3月初め〜5月初め)に症状が出現します。
 その一方で、くしゃみ、鼻汁、鼻閉は、風邪のひきはじめの症状に似ています。
風邪はウイルスによるものです。症状は、2〜3日でくしゃみは改善し、鼻汁の性状(水様性)から粘性、粘膿性へ)は変化し、1〜2週間で多くの例ではよくなります。
その他に、発熱、咽頭痛、咳、全身の筋肉痛などを伴う場合もあります。
このように、風邪による症状は、比較的短期間でさまざまに変化して改善していきますが、花粉症の場合には花粉飛散期間中は鼻、眼症状を中心に症状が続きます。
 花粉症の治療は、まずは【抗原回避】です。マスク、メガネなどの防御器具を上手に使って原因の抗原である花粉が鼻や目の中に入らないようにして下さい。 
次には最も一般的な薬物による治療法です。薬物には経口薬と点鼻薬、点眼薬があります。経口薬には第2世代抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬他とステロイド薬があり、個々の患者さんの症状や所見、併用薬の有無や合併症など総合的に考えて、どの薬が適しているか判断し処方します。
ごく軽症の方であれば点鼻、点眼の外用薬のみでもよいでしょう。また、最近は経口薬でも鼻閉がどうしても改善しない方に、腫脹した鼻粘膜をレーザーで焼灼する手術的治療も行われています。
これは外来でできる方法ですが、鼻閉をかなり改善させるために一回のみでなく数回施行する必要がある場合が多いです。
いずれの治療も、患者さんが苦しんでいらっしゃる症状を軽減させるためのものですから、花粉症の症状があっても特に日常生活上困ることは何もないという方は、治療する必要はありません。

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