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漢方と私                          麻酔科 奈良 範子

 盛岡友愛病院で火曜日の午前中のみの「漢方外来」を担当させていただいて、約9ヶ月になりました。
漢方外来は以前より、脳神経外科の大関先生が兼科で診察されているのですが、診察日の変更に伴い、漢方での治療を希望される方のみを対象とした時間をいただきました。
当初はほとんど真っ白だった予約表も、今では空欄のない日もでてくるようになってきて、ますます責任重大になりました。
現在はどこの医科大学でも、「東洋医学」や「漢方」という講義は必須のものになっています。
しかし、私が学生の頃は皆無だったうえに、「胡散臭いもの」というような考えの先生方も多い時代でした。私自身としても、民間療法の一つくらいにしか考えていませんでした。
そんな私が「漢方」に目を向けるようになったのは、自分自身の入院がきっかけです。
検査の上では正常値になったので退院したのですが、まともに働くことが出来なかったのです。
検査の結果と自分の体調が一致せず、すっかり途方に暮れてしまいました。
それで「治るなら方法はどうでも良い」と、ほとんどやけっぱちのように代替治療といわれるアロマセラピーやリフレクソロジーを試し、あれこれ試行錯誤しているうちに漢方へとたどり着いたのです。
効果は抜群!元気に働けるようになりましたし、このような治療法も有効で必要な場合があることを実感させられました。
何より長年困っていた症状も、いつの間にか一緒に改善されて、一気に漢方に魅了されてしまったのです。
漢方を勉強し始めてみると、便利で簡単なものに慣れすぎている自分に気がつきました。
例えば風邪をひいたとします。以前の私なら、「何でこんなものになったんだろう。仕事も忙しいし、休んだりしたら迷惑がかかる。面倒くさいから薬でも飲んで点滴してもらって治してもらおう!」と短絡的に考えていました。
でも漢方の考え方を知ってからは変わりました。「風邪をひいてしまうほど、自分の抵抗力が落ちていたんだな。疲れていたかも。美味しいものでも食べて、少し休んでまた頑張ろう。ちょっと漢方薬で補強しておこうかな」となりました。原因と結果。病気の多くの場合は、自分自身への無関心・不親切に原因であるのではないかと思うようになりました。自分の身体の特徴を知って、大切に取り扱うことが健康への第一歩なのではないでしょうか。
漢方というと、「あの苦い臭い漢方薬を飲むことだ」と思っていませんか? 確かに漢方外来でも、受診した方に漢方薬を処方しますが、それはあくまで「元気」になるためのお手伝いをするための一つの手段です。
「漢方」自体は、その人の生活環境や生活様式、食事や心の持ち方などを見つめなおして、良くないところは改善し、一人一人のあるべき健康な姿にしていく方法です。
その中での治療法の一つが漢方薬なのです。ですから「ただ飲んでりゃ…」では十分な効果は得られないのです。
 とはいえ、こんなことを言っている自分もこの便利な忙しい世の中で暮らしているわけで、「分かっちゃいるけど止められない」ことのなんと多いこと。
今のこの時代と漢方治療の折り合いをどうつけていくのかも今後の私の大きな課題です。
また、漢方の勉強以外に食事や体操法、経絡や針など、学ぶことが山ほどあります。焦らず、できることからコツコツと実践していこうと思っています。
そんな私が今現在、知り得た知識で細々と書かせていただいているのが、院内で無料配布中の「健康日記」です。私の成長の記録のようなものとお考え下さい。まだまだ浅学な私ですが、少しでもお役にたてれば幸いです。

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