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乳がん基礎知識@            
                日本乳癌学会乳腺専門医 外科 多田 隆士           

乳腺の主な疾患
乳房は乳腺と脂肪組織と皮膚から形成され、乳腺組織は15〜20個くらいの腺葉と言われるブドウの房状の単位に分かれて存在し、一つの腺葉は乳汁を形成する腺房と形成された乳汁を乳頭まで運び出す乳管からなります。

乳腺組織は女性ホルモンに影響を受けやすい組織で生理前に女性ホルモンの作用で乳房の痛みやしこりのように硬く触れたりもします。
また感染などの炎症や良性腫瘍、悪性腫瘍などが発生することがあります。
今回、乳腺疾患の主な良性、悪性疾患についてお話しします。

【良性疾患】

○乳腺症
30歳〜40歳代に多くみられ、乳腺内で女性ホルモンが過剰作用することによって起こると言われています。
症状としては痛み、しこり、乳頭部からの分泌などがみられます。
一般に生理前に症状が強くなり、生理が始まると症状が軽減されることが多いです。
乳腺症に伴う症状は女性ホルモンが少なくなる閉経後には症状は落ち着いてきます。

○線維腺腫
20〜30歳代にみられ、ほとんどが痛みの伴わないしこりとして触れます。
良性の腫瘍ですが、少しずつに大きくなることがあります。
急激に大きくなるときは稀ですが、3cm以上に大きくなったり、急激に大きくなるようであれば切除することもあります。

○乳腺炎
授乳期にみられる乳汁のうっ滞(乳管内に過剰の貯留)によって起こるうっ滞性乳腺炎で炎症が強くなると強い痛みと皮膚の発赤がみられます。
授乳期以外では乳輪近くに膿が溜まり、皮膚の発赤、腫れ、痛みを伴うことがあり、乳輪下膿瘍と言います。
乳輪下膿瘍は陥没乳頭の方に多い傾向にあります。
乳輪下膿瘍は切開をし、膿を出せば症状は一時治まることもありますが再発することが多いです。

○乳管内乳頭腫

乳管内の乳管壁を覆う乳管上皮の局所的に過剰増殖したもので小さいポリープのような病変で、しこり、痛みを伴うことはほとんどなく、この病変部から分泌物が分泌され乳頭部からその分泌物(黄色、褐色、赤色など)の流出で気づくことが多いです。

○女性化乳房症
男性乳腺の肥大であり、思春期および高齢者に多くみられます。
原因としては女性ホルモンの関与が考えられておりますが肝疾患、ある種の薬の副作用などでもみられます。
高齢者では男性の乳癌もあり、男性乳癌と鑑別を必要になることもあります。

【悪性疾患】
○乳がん
乳がんの発症は30歳代から徐々に増え50歳前後が最も多く、以後は次第に減少していきます。
乳がんの症状の大部分はしこりを触れますがその他に痛み、乳頭分泌、乳房の変形、乳房の一部が陥凹(えくぼ状に)などの症状がみられますが、検診で発見されることもあります。
治療としては手術療法ですが、以前のように乳房を全部切除する乳房切除法と乳房を部分的に切除する乳房温存術を施行し、その後手術側の乳房に放射線治療を行う乳房温存療法があり、今では乳房温存療法が主体です。
また化学療法(抗癌剤)、ホルモン療法などがあります。
しこりの大きさが2cm以下の早期の乳がんの90%以上は治ります。
乳房にみられる、しこり、痛み、乳頭分泌などの症状は良性疾患だけでなく悪性疾患にもみられるますので、このような症状がみられたときは乳腺専門施設で診察、検査を受けることをお勧めします。 

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